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「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」レビュー

2007年ぶりのナンバリング作品が満を持して世に送り出されました。YouTubeチャンネルに寄せられたコメントなども一緒にご紹介します。

目を見張るグラフィック

シリーズとしては2014年発売のインフィニティ以来となるが、そのグラフィックは過去最高の品質と言えます。破壊表現はアサルトホライゾンの"Steel Carnage (鋼のゴア表現)"を見事に受け継いでおり、破壊時の爽快感が蘇ることでしょう。さらに今作は、雲に入るとキャノピーに水滴がついたり、落雷によって電子系統が狂う要素も追加されています。
アサルトホライゾンの破壊表現を受け継いでいる。
落雷を受けると電子系統が故障する。

ストーリーは自分の想像と掛け合わせて完成される

今作のストーリーは2周回ほどプレイしましたが、過去作の04や5、ZEROよりも複雑化しており、プレイヤーの想像力を必要としているように感じました。カットシーンだけではストーリーの全容を把握することはできず、ミッション中の無線を追っていくことで補完していきます。さらに自分の想像力を働かせることで、自分だけのエスコン7のストーリーを完成させることができます。この想像の余地を残していることに関しては、「ACES at WAR」にて開発側の意図であることも明かされています。

ストーリーのあらすじ

ユージア大陸では、大国オーシア連邦とエルジア王国との間で緊張が高まりつつあった。
2019年、オーシア国内で無人機を使用したテロが勃発。その同刻、エルジアはオーシアとユージア諸国の共同開発で進めていた宇宙太陽発電の基盤となる『軌道エレベーター』及び周辺施設を占拠。オーシアの行き過ぎた干渉と利害独占に反旗を翻し、エルジアは宣戦を布告した。

強大な軍事力を持つオーシア軍に対し、エルジアは無数の攻撃無人機で対抗。瞬く間にオーシアの勢力は、ユージア大陸の東沿岸部へ追いやられてしまう。市街地に影響を与えないエルジアのクリーンな戦争に対し、オーシア軍は誤爆を繰り返す。エルジア王女は放送でオーシアの行動を批判、世論はエルジア側に傾いていく。


―戦場では無人機が台頭し、有人機の落日が近づいている―
エイブリル・ミード
数多くの機体をレストアさせ、その腕前から、「スクラップ・クィーン」の異名を取る。根っからの個人主義者。
ローザ・コゼット・ド・エルーゼ
エルジア王国の王女。平民に近い家の出身であったが、大陸戦争後の王政復古により、父親がエルジア王となる。
ミハイ・ア・シラージ
エルジア実験部隊のパイロット。数多くの戦場で長きに渡り、敵勢力の実力あるパイロットを葬ってきた絶対的エース。
ドクター・シュローデル
エルジア軍の無人機開発に関わる人物。典型的な科学者気質の持ち主。
エイブリルの離陸シーンで一瞬だけ映るロードローラー。飛行機を作った人、滑走路を整備してくれた人の思いが凝縮されているシーン。
"ハーリングの鏡"は、あなたにとってどう写ったのだろうか。

VRの凄まじい臨場感

キャンペーンとは別にVRモードも収録されています。最初に驚いたことは、格納庫から見る戦闘機の大きさでした。大空の中で小さく映る敵機と戦っていたこともあり、全長20mを超える機体の臨場感は、VRを装着してはじめて実感できます。離陸後は、視界全体に広がる大空に感動を覚えます。アメリカ空軍がYouTubeにコックピット視点の動画をアップしていますが、あの臨場感がそのまま体感できます。実際のパイロットも経験するという「空間識失調」に陥ることもあるので、もはやゲームだと侮ることはできません。

過去作の人や施設が登場する

今作は、これまでのナンバリング作品に共通する"ストレンジリアル"という世界に沿ってストーリーが描かれています。なので04で敵施設として登場したストーンヘンジやファーバンティ、5のナガセ・ケイやケレストル2が登場したりと、昔からエースコンバットをプレイしている方へのファンサービスが盛り込まれています。
04で敵施設だったストーンヘンジ。
5で大統領として登場していたハーリング。

昔ながらの戦闘システム

エスコン6の発売から実に12年ぶりのナンバリング作品ですが、その戦闘システムは一貫しています。敵の後ろに回り込み標準ミサイルや特殊兵装で撃ち落したり、腕を上げれば機銃で戦うこともできます。アサルトホライゾンのような至近距離で敵の翼をもぎ取っていくダイナミック性はなくなりましたが、破壊時のゴア表現(Steel Carnage)は見事に受け継がれています。
難易度の高かった機銃攻撃も、機体のスムーズな機動改善により命中させやすくなっています。

マルチプレイは回避機動を極めるべし!

マルチプレイは、2019年2月現在では「バトルロイヤル」「チームデスマッチ」の2種類が収録されています。開幕は真正面からのミサイルとレーザー攻撃による撃墜合戦となります。そしてすぐに渦を巻くように飛行機雲が入り乱れ、ドッグファイトへ移行していきます。ミサイルアラートが終始鳴り続けるため、回避機動をとりながら敵機を追っていく必要があります。

マルチプレイはキャンペーンの難易度に例えれば、ACEの上の"ULTRA ACE"といったところでしょうか。空中をぐるぐる回るに終始している現状を打破するために、インフィニティの共同戦役や大型レイドの協力モードなどが欲しいところです。しかしAce Combat Fan氏とのインタビュー動画(https://youtu.be/bwrnCYjPUPs)にて河野プロデューサーは、「7は敵味方の情報表示システムが複雑化しすぎていて、インフィニティのような共同戦役を実装することは極めて困難。共同戦役のようなモードを実装するならば、7の派生作品として新たに発売を検討する。」と答えています。
最大8人との対戦。
EMLの猛威は恐ろしい。

まとめ

12年ぶりのナンバリング作品として、総合的には新しい体験ができる優れたゲームと言えます。
グラフィックは機体のリベット一つ一つまで再現されており、アサルトホライゾンのダイナミックな破壊表現もしっかり受け継がれています。ストレンジリアル世界の続きを描いたキャンペーンは、プレイヤーの想像力と掛け合わせることで、自分だけのACE7を完成させる楽しみを意図して開発されています。初代エースコンバットからの一貫した戦闘システムは、初心者から上級者までを満足させる最高のインターフェースとなっており、初のVRモードにも活かされています。そしてマルチプレイでは、空中をぐるぐる回ることに終始してしまう単純さに、少し物足りなさを感じました。初心者でも楽しめる新しいPvPモードや、共同戦役のような強力モードも実装してほしいところです。エースコンバットにおいてマルチモードの歴史は浅いため、今後数年にわたって、より素晴らしいものにアップデートされることを願っています。

執筆者Writer

AnTytle

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